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「そんなにとんがらなくても…」なのに読む手が止まらない!作家・月岡ツキの文章が持つ中毒性

普段、私はエッセイというジャンルの本をほとんど読まない。

読むのはもっぱら小説や新書、専門書、あるいは実務書だ。

どこかロジックや明確な答えを求めて読書をする傾向があるせいか、他人の日常や内面が綴られたエッセイに対して、お恥ずかしながら「読む価値がよくわからない」とすら思っていた。

エッセイの中で好きな文章に出会ったことがなかった、というのもある。

そんなエッセイを読まない私が、ある一人の作家の文章に殴られ、どうしようもなく惹き込まれてしまった。

きっかけは、嫁ちゃんだった。

彼女が子供を持つかどうかについて真剣に悩んでいる時期に、読んでいた本がある。

『産む気もないのに生理かよ!』(月岡ツキ 著)


インパクトのあるタイトルだ。

せっかくだからと私もこの本を読んでみることにした。

内容はタイトル通り、子持ちではない既婚女性の葛藤や悩みがリアルに描かれている。

しかし、私が心を掴まれたのはそのテーマそのものではなかった。

筆者である月岡ツキさんの、圧倒的な「文章の鋭さ」だった。

こんなことを書けば、きっと色々なところから全くもって有難くないお叱りの数々が届くのだろう。

そう容易に想像できることすら、彼女は恐れない。

だからこそ、取り繕っていない筆者の本当の「本音」が、ヒリヒリとした熱量を持って真っ直ぐ刺さってくる。

気づけば私は、むさぼるようにページをめくっていた。

速読派の私は恐らく数時間で読破したであろう(笑)。

ポッドキャストで知った「ギャップ」

彼女の言葉をもっと浴びたくなって、同名のポッドキャスト番組が配信されていることを知り、すぐに聴くようになった。

となりの芝生はソーブルー – ポッドキャスト – Apple Podcast

本があれだけトゲトゲしく鋭いのだから、さぞかしお喋りも尖っているのだろう――。

そう身構えていたのだが、結果は見事に裏切られた。

音声から聞こえてくる月岡さんの話し方は、意外にもかなり抑えめだったのだ。

むしろ、相方のよしのちゃんの方がよっぽどぶっ飛んだ発言をしていて面白い。

「あれ? 本の印象とちょっと違うな?」 そんな小さな違和感を抱えながら、私は彼女の2作目となるエッセイを読んだ。

『傷つきながら泳いでく』


この本を読んだとき、ポッドキャストで感じた違和感が、すとんと綺麗な「納得」へと変わった。

作中で明かされる彼女の内面は、やはり相変わらず鋭い。

けれど同時に、どこか「周りの目を気にしている繊細さ」のようなものが、文章の端々から滲み出ていたのだ。

彼女は、話すことよりも、「文章にした方が本音を100%伝えられるタイプ」の人間なのだろう。

じっくりと自分の心と向き合い、言葉を推敲し、ギリギリまで削り出すからこそ、あの活字のキレが生まれるのだと勝手に解釈し、深く腑に落ちた。

ファンとしてのリスペクトと、贅沢なジレンマ

作中、月岡さんは1作目を出版した当時の心境として、周りでさらに頑張っている人と自分を比べ、劣等感を抱いていたと吐露している。

「まだ自分は1冊出しただけだ」と。

客観的に見れば、本を出版し、ポッドキャストを軌道に乗せ、そこからまた次の仕事に繋げている。

普通に考えてめちゃくちゃ尊敬するし、すごいことだ。

しばしばブログ投稿をさぼりアフィリエイトで全くもって稼げていない私と比べれば比べるまでもない。

読者としては思わず、「いやいや、十分すごいんだからもっと自信持って!」と言いたくなってしまう。

しかし、ここに一人のファンとしての贅沢なジレンマがある。

彼女に自信満々になって幸せになってほしいと思う反面、その「いつまでも満たされない劣等感」や「ヒリヒリとした繊細さ」があるからこそ、この鋭い名文が生まれるのではないか、とも思ってしまうのだ。

尖り続けてほしい、でも生きやすくもあってほしい。

そんな矛盾した気持ちにさせられる。

個人的には、「こんな風に生きるの、絶対に大変だろうな」「そんなにとんがらなくてもいいのに」と感じる部分もある。

でも、ふと思い出す。

昔の私を知る友人から、かつて言われた言葉を。

嫁ちゃんと付き合う前の私はこう見られていたのだ。

「そんなにとんがっていなくても良くない?」

って思われていたようだ。

きっと私自身も、昔は周りからそう見られていた時期があったのだ。

だからこそ、月岡ツキという作家の生き様や、そこから生まれる言葉のトゲが、他人事ではなく自分の古傷に共鳴して、ここまで深く刺さるのかもしれない。

エッセイなんて読む価値がないと思っていた私が、いまや彼女の次回作を、首を長くして楽しみに待っている。

どうかその繊細な感性のままで、月岡ツキさんの魂の叫びが書かれた文章を読ませてほしい。

1ファンとして次回作を大いに待っているとともに、多くの人にこのエッセイを読んでほしい。

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